わくわくみきぽランド

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水虫薬のパッケージは高級になると雷が落ちる

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クレイジースタディ様「こたつ記事王決定戦」にて佳作を頂きました。

ありがとうございました。

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今年の正月休みもすっかり終わった頃とてもひどい水虫になった。

急いでドラッグストアに薬を買いに行ったところ、そんな大きくはない水虫コーナーに所狭しとたくさんの水虫薬が並んでいた。

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写真は当時ネタメモ用に撮影したもの

値段は安いもので600円ほど、高いものになると2000円程度。

困った。そんなにいっぱいあっても水虫ビギナーの私にはどれを選べばいいのか全くわからない。

 

ひとまず安い商品を見てみる。600〜1000円程度で買えるものだ。

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普通の紙箱に1〜3色刷りが多い

うん、水虫の薬だ。

 

続いて真ん中ぐらいの商品を見てみる。1000円を超えたぐらいだ。

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集中線っぽいものが見える

パッケージの情報量が増えてきた。

安いピロエースWと高いピロエースZがあるが、同じラインでもパッケージが随分パワーアップしている。

 

そして高級な商品。ちょっと買うのに躊躇う2000円近いものだ。

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「殺菌力」の圧倒的力強さ

全体的にパッケージがとても強そうに進化した。

金色の文字が登場し、殺菌が光り、有効成分が刺さり、集中線や雷のようなものが轟く。これまでになかった殺菌力を大きな文字で推している。

なんだかとてもすごい。2000円を払わせようという気概を感じる。

 

しかしこうやってパッケージを並べて気付いたことがある。

 

水虫薬、高くなるほどパッケージに雷が落ちがちじゃない?

 

深く浸透して効くイメージなのだろうか。かゆい足指に突き刺さるような印象は確かに需要をくすぐるものがある。 

そういえば以前、風邪薬を吟味した時も「高い薬のパッケージは箔押しでラメラメしてる…」と感じた覚えがある。

 

同じ薬でも値段によってパッケージが進化するのだろうか。

そして水虫であれば雷が落ちるように、薬によって表現に特徴があるのだろうか。

 

残念ながら外出は自粛の今、マツキヨオンラインストアAmazonドラッグストアで薬のパッケージを調べてみた。

 

 

■風邪薬編

いわゆる風邪のひき始めに飲んでおく色々な症状に効くやつだ。

まずはお手頃価格から。

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カサカサした紙のパッケージが多い

特にコメントがないぐらい普通の風邪薬だ。

 

次に中価格帯。

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少しオーラが出てきた

早速どことなくパッケージが輝き始めた。

水虫の薬は雷が落ちていたが、風邪薬には集中線やスピード線など「速さ」を感じる要素が多い。

とにかく早く治したい、そんなユーザー心に訴えかけるパッケージだ。

そして文字量が増え、効能や有効成分がいかに盛られているかを訴えかけてくる。

 

余談だが、エスタックイブのキャッチコピーは「風邪でも絶対に休めないあなたへ」だった。今だったら炎上間違いなしである。休め。

 

では高価格帯を見てみよう。

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箔押し!金印刷!ラメ!

なるほど輝きが違う。

ルルアタックは前面に銀箔印刷で、更に銀の線や真ん中の円が少しボコッと浮き出ている。

ベンザブロックは有効成分を取り巻くオーラがラメの金箔。

エスタックイブとコンタックは金色の印刷に、目が覚めるような集中線。

そして中価格帯に比べてパッケージがカラフルになり、風邪に効く成分がたくさんあるぞと猛烈にアピールしている。

 

同人誌を作ったことがあるオタクならわかると思うが、箔押し印刷はめちゃくちゃ高い。

パッケージにかける金を有効成分にかけてくれよぅ…と私の中のワガママな消費者が騒ぎ出すが、私は愚かなので、パッケージが豪華でなければそれが良い薬だと気付くことはないだろう。

 

【結論】

風邪薬は高くなるほど印刷で輝き、集中線やスピード線が増える。

 

 

■目薬編

私はクール系目薬厨なのですぐ「最強クール」「これまでにない爽快感」といった類の目薬を買ってしまう。あのパッケージも過剰な演出を感じるものがある。

目薬はブランドでデザインを統一しているメーカーが多いため、ブランドごとに並べてみた。

 

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高くなるほど、文字数が増えている。

目薬の効能により少し傾向が違うようだ。

クール系目薬はビジュアルを中心に強い爽快感を訴求している一方で、

アレルギーやかすみ目など効能が確実に欲しい目薬は、ビジュアル部分が減り、週刊文春の見出しのごとく文字数が増えている。

そして高級感を出すためか、色使いはむしろ大人しくなっていく場合もある。

 

これは他の高価格目薬でも共通していた。

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紫や暗い青で高級感を演出

金銀はもちろん紫や暗い青は日本人が高級感を感じる色合いだ。

しかし「年齢、眼疲労」「目のかゆみ」への効果を謳うのに、高級なものほど小さな文字がビッシリ書かれていて大丈夫なのだろうか……

 

【結論】

目薬は高くなるほど文字数が増え、高級っぽい色になる

 

 

漢方薬

ここまでいわゆるケミカルな薬を見てきたが、逆に、ていねいなイメージのある漢方薬なども光るのだろうか。

結論から言うと漢方はあまり値段によってパッケージに差はなかった。高いものも安いものも漢字推しのパッケージが大半を占めていたのだ。

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冷え性や動悸など体質改善が多い

確かに漢方は硬派なパッケージの方が効きそうなイメージがある。

しかし「桃核承気湯」とだけ言われても何が起きるのかさっぱり想像がつかない。

右下の「柴胡加竜骨牡蛎湯」は名前からして強そうだが、その通り値段もとても強かった。

45包で3437円(税抜)だが界隈ではかなり人気らしい。財布も知識も深さが求められる世界のようだ。

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物忘れに「アレデル」、いい名前だ

足がつる、五十肩など具体的な症状を改善する漢方になると稀にイラストが登場するが、それでもわりとおとなしい印象だ。

 

漢方薬のパッケージは光らない…と結論を書こうとしたところで、今までの傾向を覆すようなパッケージが目に入った。

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「脂肪」の文字すら燃やす勢い

燃えている。めちゃくちゃ燃えている。

防風通聖散、脂肪を燃やす漢方だけあらゆるパッケージが燃えに燃えていた。

ここまで小粋に「わかる方だけどうぞ」みたいな顔をしていたのに、急に文字ドーン!金色ドーン!有効成分ドーン!炎ドーーン!!と風邪薬と並べても見劣らない迫力を醸し出している。

他の薬では見なかった生々しい腹の写真が多いのも面白い。

確かに水虫薬に水虫の写真は載せたくないが、太ってるだけの中年腹なら許される気がする。そして…こう、身に迫るものがある。

 

【結論】

漢方薬は高くも安くも漢字のみで雰囲気を出してくるが、脂肪界隈だけは熱く燃えている

 

 

ところでこの記事を書くために色々な薬のパッケージを見てきたが、一つだけすごいジャンルがあった。

 

育毛剤

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光る一本の毛根

育毛剤、あらゆるパッケージが光っているのだ。

安いものから高いものまで全てのパッケージが毛根を中心に輝く、圧倒的な「生える」イメージ。

強さ、高級感、そして何より効きそうな誠実さをイメージさせる色使い。

どのパッケージも似た形状の毛をモチーフにしているのも味わい深い。

ここまで似ているとどれを選んでいいのか迷ってしまうが、毛に悩んで訪れた人間が手に取りやすいよう集団で存在を主張しているのだろうか。

 

【結論】

育毛剤は光る

 

 

ソシャゲをやっているとわかりやすいが、ゲームのキャラクターも進化すると光るオーラを発したり、装備がゴツくなったり、肌の面積が増えたりする。

パチンコも当たるとめちゃくちゃ光って玉が出るらしいし(やったことはない)、そういえばタイのでっかい大仏も金色でピカピカ輝いていた。

つまり、どの世界においても派手になって光ることは強いことの証で、それは薬においても同じ。

人は見た目が8割、薬も見た目が8割なのだ。

 

いつか植物図鑑で見た、虫に蜜を運ばせるために美しく進化した花のことを思い出した。

いや、薬のパッケージを観察したかっただけで、全然そんな話じゃあないんですが。

 

(完)

 

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